漬物業界がHACCP手引書作成 食品随一の完成度に

新たに作成した手引書(「漬物製造におけるHACCPの考え方を取り入れた安全・安心なものづくり」全日本漬物協同組合連合会)
新たに作成した手引書(「漬物製造におけるHACCPの考え方を取り入れた安全・安心なものづくり」全日本漬物協同組合連合会)

漬物の業界団体である全日本漬物協同組合連合会はこのほど、小規模事業者向け衛生管理の手引書「漬物製造におけるHACCPの考え方を取り入れた安全・安心なものづくり」を作成した。今後のHACCP制度化に向けて、小規模漬物事業者の衛生管理計画作成の負担を軽減し、すべての漬物製造事業者が実施可能なHACCPの考え方を盛り込んだ。

厚労省は16年3月にHACCPに沿った食品衛生管理の制度化を検討開始した。制度化に向けて、17年の1年をかけて各事業者団体の指導を行い、食品10団体に対して業界向けの手引書作成を要請した。これを受けて、全漬連では17年度にHACCP手引書作成検討委員会(遠藤栄一委員長)を設置した。

厚労省が示したHACCPによる衛生管理には、「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の2種類があり、前者はこれまでA基準、後者はB基準と言われてきた。後者が小規模事業者を対象としている。

小規模事業者の定義については現在、厚労省で検討中だが、漬物業界は従業員数20人以下の事業者が8割以上であり、大半の事業者がHACCPの考え方を取り入れた衛生管理(旧B基準)に該当する。

全漬連HACCP手引書作成検討委員会では、昨年7月末の第1回会合から3か月ほどの短期間で手引書案をまとめた。各漬物ジャンルの製造工程は全国漬物検査協会が過去に作成した工程図を現状に合わせて修正。また、各漬物ジャンルの業界から意見を吸い上げるとともに、27施設でモニタリングを行い、手引書掲載の帳票類が現場で使用できるか検証した。

全漬連作成の手引書は従業員50人以下から数人の事業者まで対応できるよう簡潔にまとめられた。包装後加熱殺菌しない漬物と加熱殺菌する漬物で重要な管理ポイントは異なるため両方の衛生管理計画の記載例を掲げた。

また、一般衛生管理の実施記録表は現場での煩雑さを避けるため、1か月分のチェック項目を紙1枚に収めた。

コンパクトながら必要な情報がすべて網羅されている手引書で、他の食品業界においても話題になり、「先行業界の中でも随一の完成度」との評判もある。これから手引書を作成する業界にとっても大いに参考となる。

全漬連では6月の衛生管理月間に間に合うよう5月中に会員企業へ手引書を配布する。また、手引書の内容について説明の場を設けて、会員企業へ理解を促す方向だ。今後はアウトサイダーへの周知が課題となりそうだ。

手引書について遠藤委員長は「委員会メンバーの熱意とベースになるものがあり、非常に速いスピードで完成した。まず経営者が読み、内容を理解してから現場に落とし込んでほしい」と述べた。また、大羽恭史担当副会長は「そ族をネズミと表現するなど誰もが分かりやすい内容になった」とコメントした。