業務用冷食 コスト上昇で利益厳しく 理解進まず値上げ困難

業務用冷凍食品市場 市況

業務用冷凍食品市場は提供現場の人手不足などでニーズが高まり、比較的順調に推移しているものの、物流費・原材料費・人件費・包材費などのコスト上昇が重くのしかかっているが価格改定への動きは鈍く、利益面で苦しむ企業が増えている。

物流費は軒並み上昇。また関東・関西地区は慢性的に保管能力が不足しており通関が遅れる商品も多い。3月に東京団地冷蔵が賃貸する冷蔵倉庫が稼働したことで若干の緩和が期待されるが、苦しい状況は続いている。

原材料も水産、農産中心に上昇。タイ産のインゲン豆がやや不作との話もあり、需要動向次第では値上がりの可能性もある。人件費の上昇も重い負担だ。また3~4月にかけて行われた業務用酒類の値上げも「何らかの影響はあるだろう」と懸念されている。

原油価格が回復していることが包材費の上昇も招き一部の弁当トレーは1割ほど上昇。原料上昇分も含めてメーカーが負担させられれば「売上げが伸びても利益を維持できない」といい、「個社の努力で吸収できる時間はそう長くない」と話す関係者も多い。

ただ“厳しさ”の程度についてはメーカー間の温度差は大きい。原材料の調達ルートや使用原料の違いなどで影響は異なるからだ。「きついとはいえ吸収は可能」と大手を中心に値上げへの動きは鈍い。

全般的なコスト上昇だからこそ厳しいのだが、個々に分けて見れば企業に与える影響は必ずしも大きくないため、「個々の上昇を理由に流通側と価格を交渉しても理解されない」という。また、すべてのコストが同様に上昇しているわけではないことも理解が進まない要因だ。

中国の消費増も値上げが進まない一因だ。中国が原材料の買い付けを始めると現地価格は外貨ベースで1割ほど相場が上がることもあるが、輸入しても高価格なため国内で消費が進まず在庫が滞留。「そのうち投げ売りが始まるのでは」との期待から価格改定を抑える向きも一部にあるという。

20年五輪に向けインバウンドや人手不足などで業務用冷食の需要はさらに高まるとみられるが、「コスト環境に明るい話がないため社内が委縮している」という企業もあり、「売上げ増でカバーできないところまで追い詰められれば積極的な展開を控えるかも」という。

「大手が値上げをしなければ、中堅企業は難しい」といわれるが、「今年の秋か、来年の春には耐えきれずに単独で値上げを行う企業も現れるのでは」との見方もある。

単純に値上げをすれば良いとはいえないものの、適正な利益が得られなければ市場は歪む。高まる業務用冷食の需要に応え、食生活を支えるためにも丁寧な説明で理解を得る準備をすべき時が来たようだ。