消費税軽減税率問題 日食協が手引書公開

企業間取引のポイント網羅

日本加工食品卸協会(日食協)は19年10月の消費税軽減税率制度の導入に向けた対応手引書(「消費税軽減税率対応 企業間取引の手引き第1版」)をとりまとめ、協会ホームページで公開した。食品企業間取引の実態に即した制度対応マニュアルは業界初。製配販各層のコストと労力を最小限に抑えるインボイス対応のあり方なども示されており、メーカー・小売業を含む消費財業界全体の指針になりそうだ。

軽減税率制度の導入に際しては、適用品目の食料品を扱う製配販各層に税率ごとの商品情報管理や請求・支払処理といった複雑な業務運用が要求される。

しかし、現状では小売側で複数税率対応レジへの切り替えが徐々に進んでいる程度で、仕入税額控除に対応する請求フォーム等の見直しや商品マスタへの税率区分項目の追加といった事業者間取引環境の整備は大幅に遅れている。この状態が制度開始の直前まで続いた場合、企業ごとの個別対応が氾濫し、サプライチェーン全体の経理業務負荷が一挙に膨らむ恐れがある。

日食協はこうした問題を踏まえ、昨年5月に軽減税率対応システム専門部会(座長 三菱食品情報システム本部本部長付・大久保敏男氏)を組成。制度導入による企業間取引への影響範囲や課題を整理し、このほど関係省庁の既出資料などでは見落としがちなポイントまで網羅する手引書の公開にこぎ着けた。

手引書は一体資産(軽減税率適用商品と通常税率商品を組み合わせたギフトセット、玩具菓子など)や汚破損返品時の税率判定基準なども想定されるケースごとに詳しく解説。23年10月以降に義務化される適格請求書等保存方式(インボイス制度/適用税率ごとの税額を記載した請求書等を交付・保存し、納付税額を計算)への対応方法なども具体的に整理し、同制度を見据えた計画的なシステム改修による二重投資の抑制を業界に呼びかけている。

なお、インボイス制度では請求書以外の伝票(納品書、支払案内書など)で要件を満たすことも可能だが、企業ごとに異なるインボイス交付を採用した場合、経理業務が業界規模で煩雑化する。このため、手引書では「製造業から卸売業へのインボイス交付は請求書にて行うことを要望」とするなど、トータルコスト抑制の観点から業界全体が足並みを揃えることを求めている。

軽減税率制度は現時点で詳細な設計が確定しておらず、請求レスのように買い手側がインボイスを受領・保存しづらい取引で仕入税額控除にどう対処するかなど、不明な点も多い。日食協は今後も関連政省令の制定に合わせて順次改訂版を作成・公開する方針だ。業界の統一的な業務運用と円滑な制度対応に向け、手引書をベースにメーカーとの協議も進める。