移動スーパーと生協個配 意外な相互補完関係

スーパーの移動販売と生協の個配は共存可能――先週行われた食品スーパー3団体(日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会)の定例会見で、スーパー側と生協側の出席者がおのおののサービスの利点と相互補完性に言及する場面があった。買物困難者向けの両サービスは一見競合関係に見えるが、利用者の間では併用と使い分けが定着しつつあるようだ。

この日の会見には千葉県市原市の食品スーパー、高橋商店の高橋喜則取締役がゲストスピーカーとして出席。3年ほど前から積極的に取り組む移動販売や送迎サービスの利用状況などを報告した。

同社は15年10月に移動スーパー「とくし丸」のビジネスモデルに参画。現在、協力個人事業主一人が3コースを週2回ずつ専用車で巡回し、生鮮・日配品を含む約400アイテムを地域の高齢者らに販売している。

「お客さまの中には生協さんの個配を併用している方も多い」(高橋氏)というが、販売は順調だ。直近の平均日販は約10万円で、とくし丸全体の平均(約8万円)を大きく上回る。

冷凍品中心の個配にない寿司・刺身・惣菜などを充実させていることに加え「店に行く感覚で現物を見て買えるのが大きいのではないか。一人でお住まいの方々にとっては、ドライバーと世間話をする楽しみもある」。今後は地元保育園への週2回の配達にもとくし丸の車両で対応する方針だ。

会見に同席した日本生協連の伊藤治郎氏(渉外広報本部本部長)も「移動販売の強みは生ものを扱えること。ものを直に見て購入したい方も一定程度いらっしゃるので、生協の個配とうまく棲み分けができている」と語り、両サービスが補完関係にあることを示唆。「各地の生協も中山間地を中心に(実店舗を活用した)移動販売に力を入れ始めている」と述べた。

日本生協連の調査によると、移動販売に取り組む地域生協は17年末までに全国27組織に拡大。車両総数は182台で、各地のスーパーと組むとくし丸(全国約270台)に次ぐ勢力となっている。特に広大な買物困難エリアを抱える北海道では、コープさっぽろの87台の移動販売車が食のライフラインを支えている状況だ。

個配という国内最強の食品宅配基盤を持つ生協がスーパーの移動販売を追いかけていることは大きな意味を持つ。実店舗とECリテーラーの今後の競争にも少なからず影響を与えそうだ。