「平成」総決算の年へ 体験型消費に知恵絞る

昨年は人口減少や少子高齢化、デジタルシフト、AIの台頭など食品業界を取り巻く環境は大きく変化。さらに働き方改革や慢性的な人手不足、活発な女性の社会進出、ネット通販の急拡大、旺盛な海外進出、米国を除くTPP11の大筋合意など激変した1年だった。今後も加速的な人口減少と世界に類を見ない高齢化が加速するなどの環境に変わりはない。だが19年4月30日に天皇陛下が退位し、5月1日に皇太子さまが即位する日程も決まったことから、今年は平成の締めに当たる総決算の年となる。東京オリンピック・パラリンピック開催まで2年に迫り、世界に向けてポジティブな変革を示す起点でもある。

「何を買うか」より「どう過ごすか」

食品がなかなか売れない中で昨年来、モノからコト消費への進展が叫ばれているが、今年はこの傾向が加速する。何を買うかより、誰とどんな状況で時間を過ごすかが焦点となり、経験や体験を楽しむ消費に価値が置かれ、企業にはこれを読み取るだけの対応が求められている。

今年で20歳になる消費のカギを握る新世代がマーケティング業界から注目されているそうだ。彼ら・彼女らは生まれた時からインターネットのさまざまなサービスを受けた世代で、企業からの一方的なコミュニケーションよりも、フェイスブックやツイッター、インスタグラム、ラインなどソーシャルメディア(SNS)による個人的なやり取りを重視する世代だと言われている。同じ目線の人ならすぐに共感し、それがフォロワーを通じて消費のトレンドをつくっている。

中でも昨年は、インスタグラムなど画像系の交流サイトで生活を自慢する「見栄え消費」がはやった。見栄え商品の画像投稿によりブームになった商品は数知れず、昨年、外食でローストビーフ丼が売れたのも「インスタ映え」によるものだ。誰かに見せたいとかうらやましがられたい、いいねと言われたいなど承認要求がはやった。

だが、ブームは衰退が宿命であることは言うまでもない。早くもユーザーの中には「インスタ疲れ」が浸透し始めているようで、はやるのも早ければ廃るのも時間の問題と見る向きもある。

13年から15年にかけて円安に伴う訪日コストの低下や規制緩和で訪日客は急増したが、16年にインバウンド消費の勢いはいったん鈍ったものの、17年から再び持ち直した。今年も国内消費は訪日外国人観光客による国内支出、インバウンドが牽引しそうだ。人口減少や潜在成長率の低下に悩む日本にとって、訪日客拡大は数少ない明るい材料だ。

昨年の訪日客の国籍・地域は中国や韓国、アセアンなどアジア諸国、地域が中心だが、今後は欧州や中東へと広がる可能性があるという。最大の観光客の中国はリピーターの割合が年々高まっており、訪問先も首都圏や中部から中国、四国、九州へとシフトしている。18年のインバウンド消費は訪問先の裾野を広げながら増加基調で推移。食品や外食業界も期待している。

(本紙新年号より一部抜粋)