抹茶 国内外で拡大 「まるごと食す」健康価値に的

好調要因 豊富な健康成分 口当たりのまろやかさ

抹茶を使ったドリンクやスイーツなどの抹茶製品の人気が国内外で高まっている。近年は、抹茶に多く含まれるポリフェノールなどの健康価値に注目が集まり、健康・美容に関心を持つ20・30代女性が多く入ってきているという。

碾茶
碾茶(てんちゃ)

抹茶は、原料となる碾(てん)茶を摘み取り前に日光を人工的に遮ることで、カテキンの量を抑え、うま味・甘味成分であるテアニンを多く含んでいるのが特徴。その茶葉を石臼で挽いて、まるごと食すものとなることから、お湯に溶けにくい栄養素や健康成分も摂取することができる。

16年の抹茶総生産量は約4千t。その約1割を調達する伊藤園は、昨今の抹茶人気について「抹茶入り製品は口当たりのまろやかさや水色(すいしょく)、また茶葉そのものを食しているので健康性が高く、幅広い方に好まれることが近年の好調要因」(伊藤園)とみている。

伊藤園の抹茶入りドリンクの1―10月販売実績は、数量・金額とも4割強伸長。抹茶入り製品(リーフ)については「多数展開しており、改廃などが多く単品で比較することは難しいが、全体的にはリーフカテゴリーは5―10月に7・8%増となり、そのうちティーバッグ製品は10%増となった」という。

海外も好調。「ITOEN MATCHA GREEN TEA」の商品名で米国、豪州などで展開し、北米エリアではここ2、3年で2倍近く伸び、今年も昨年の倍となる見通しとなっている。

ネスレ日本はコーヒー・チョコレートに次ぐ第3の柱として抹茶戦略を推進
ネスレ日本は、コーヒー・チョコレートに次ぐ第3の柱として抹茶戦略を推進。「ネスカフェ」「キットカット」の2大ブランドと定期購入サービス「ネスレ ウェルネス アンバサダー」のチームが連携して2大ブランドの抹茶製品を並べた売場提案などを行い、直近では抹茶の持つストレス解消機能に着目したコミュニケーションを展開している。

連携した売場づくりについて、ネスレ日本の槇亮次コンフェクショナリー事業本部マーケティング部長は「売場は拡大している。10月だけでも1千軒以上のスーパさまで『ネスカフェ ドルチェグスト』と『キットカット』を一緒に並べてもらい今後も増えていく。加えて、一部の大手ディスカウントストアさまでも置いてもらえるようになった」と説明した。

同社の抹茶製品は計28品あり、売れ筋は「ネスカフェ ドルチェ グスト」専用カプセルでは「宇治抹茶」、「キットカット」では「オトナの甘さ濃い抹茶」となっている。

抹茶味の「キットカット」の販売動向については「40代以上の方が多いが、美容を気にされている若い層も増えている」と語った。

外食・業務用市場も賑わす「お~いお茶」からお茶の伊藤園に

片岡物産の「辻利」も拡大傾向にある。同社上期に当たる3―8月では、抹茶プレミックス市場と同じく10%強伸長した。競合の攻勢が強まった9―11月も5%増と好調を維持している。

春夏に大ヒットした片岡物産の「辻利ソフト濃い茶」

今年は、4月に開業した東京・銀座の商業施設「GINZA SIX」の「辻利」店舗も話題となった。同店「辻利ソフト濃い茶」は一時期、1日平均600食売れて春夏の大ヒットメニューになり、オフシーズに入った現在も「気温が下がり、夏場ほどではないが好調に推移している」(片岡物産)。

家庭外でのブランド力発信という点では伊藤園も積極的に活動。12月5日、決算発表した本庄大介社長は「原料の営業では抹茶にものすごく力を入れている。社内では“『お~いお茶』の伊藤園からお茶の伊藤園になれ”と言っている」と語った。

同社は、国内の主要な老舗百貨店に相次いで出店。11月に開業した上野フロンティアタワーの地下1階には「上野 茶寮 伊藤園」をオープンし、抹茶ミルククリームの上にお茶会用お薄抹茶「霧の音」をまぶした同店限定メニューの「抹茶ミルクパンケーキ」や「抹茶(菓子付)」、抹茶のドリンク、ソフトクリームなどのスイーツを豊富に取り揃えている。

「日本の食品輸出EXPO」の伊藤園出展ブース

今後の店舗展開については「抹茶を取り込んだ店を百貨店さま以外にも専門店などで今後も開店していく。これはブランディングの一環で、伊藤園という総称ブランドの価値を高めていきたい」(本庄社長)と。

課題は、中長期を見据えた抹茶の調達力にある。伊藤園が行っている茶産地育成事業といった国内農家の支援強化に加えて、海外での現地生産化の動きが強まりそうだ。