中小企業の現実 政府は直視を

先般の国会答弁で、安倍総理は中小企業の支援について言及した。いつも以上にその言葉に真実味が感じられなかったのは、最近聞いた地域メーカーの社長の言葉が頭をよぎったからだろうか。

▼「政府は中小企業がなくなっても、痛くも痒くもないんだろう」。総理は企業の収益を賃上げや設備投資に向けることを要請しているが、既に最低賃金は引き上げられ人件費の高騰に拍車をかけた。このメーカーも四苦八苦している。それでも人手が足りているだけまだ良い。

▼郊外に物流センターを構えるある卸売企業の社長は、募集してもなかなか人が集まらないと悩む。車で5分もあれば行ける隣の県は、最低賃金が30円高い。県境を越えて人が流れていく。引きとめるために、さらに時給を上げる余裕はない。

▼本業の商売も厳しい。主な得意先は個人店や小規模チェーン。買い物客の多くは徒歩や自転車でやってくる。降雨と台風に悩まされた10月。雨が降ると来店客は極端に減り、長雨ともなれば週末に大型店でまとめ買いをする。先月はいつになく、週明けの注文が少なかった。天気まで味方になってくれないのかと嘆いている。