食品卸 共同配送を推進 日食協が業界向け手引書

日本加工食品卸協会 得意先向けエリア共同配送

物流危機で強調気運高まる

食品卸業界は得意先向けエリア共同配送の強化に乗り出す。このほど日本加工食品卸協会(日食協)がまとめた業界向け手引書(「加工食品卸売業の共同配送推進の手引き」)を活用し、企業の枠を超えた効率化と物流サービス力の維持を目指す。

手引書は昨年10月の物流総合効率化法の改正を受けて日食協物流問題研究会(座長・神山浩二氏/伊藤忠食品ロジスティクス本部ロジスティクス運営部長)で作成されたもの。この改正法では環境負荷低減に向けた複数事業者による共同配送やモーダルシフトの推進が国の重点テーマとして掲げられており、食品物流の中核を担う卸としても早急な対応が必要と判断した。

食品業界では今年3月に味の素など大手メーカー4社合弁の共同物流会社F―LINEが始動。6月には日清食品とサントリー、9月にはビール大手4社が北海道で共同輸送に乗り出すなど、複数メーカーによる幹線輸送の共同化が急速に進展している。今回の手引書の公開を契機に、今後は食品卸による店舗や得意先専用センターへのエリア配送でも共同化が進みそうだ。

手引書では共同配送計画の策定手順やパートナーとの協議の進め方を具体的に示したほか、日食協の会員卸による先進的な取り組みを一部社名入りで紹介。物流システムから在庫拠点、配送までを統一して共通の得意先に対応する大手3社(三菱食品・伊藤忠食品・日本酒類販売)の事例なども取り上げている。

また、自社の共同配送希望地域と詳細な配送実態を記す業界共通書式(お見合い票)が添付されており、似た課題を持つ他社との協議を進めやすい構成となっている。特に低い積載率で広域配送を余儀なくされている北海道の卸各社が手引書の早期活用に興味を示しており、日食協の各支部を拠点にお見合い票によるマッチング作業が進むとみられる。手引書は近く協会ホームページで公開される。

食品卸業界ではドライバーと庫内作業員の不足による物流費の高騰が年々深刻化。今年4月のヤマト運輸の値上げ発表を境に、委託運送業者からの値上げ要請が相次いでおり、さらなるコストアップを避けられない状勢となっている。また、過疎化が進む地方から撤退する運送業者も多く、卸各社の自助努力では継続的な供給が困難な場面も出始めている。

三菱食品の森山透社長は6日の決算会見でこうした物流環境に触れ、協業の重要性を強調。「今後は競争相手とも割り切って取り組む」と述べ、同業者や日用品卸など異業種との共同配送の可能性を探っていく考えを示した。先の手引書にも業界連携による供給責任の遂行や環境負荷低減を柱とする「共同物流取組宣言」が盛り込まれており、久々に川中の協調気運が高まりそうだ。