食品の用途特許

季節は秋。バレエシーズンである。昭和8年、蔵前の缶詰工場に生まれた佐々木忠治は、昭和39年に東京バレエ団を設立、昨年物故するまで、日本バレエ界に尽くした。著書「闘うバレエ」(文春文庫)を読むと、黎明期の日本バレエ界とその後の発展、バレエ興行におけるビジネスの苦労がよく分かる。

▼驚いたのは脚本だけでなく、振り付けにも著作権が存在することだ。バレエに魅せられて10年になるが、恥ずかしいが知らなかった。

▼この秋来日しているバレエ団を主宰したモーリス・ベジャールは佐々木と親交の深かった振り付け師。彼は十年前に物故しているが、彼の振り付け作品はすべて、財団が著作権を保有しているそうだ。ダンサーの細かな動きをどこまでチェックするのか知りたいところだが、黙って公演し、莫大な使用料を請求されたケースもあるとか。

▼わが食品業界では、昨年から食品の用途特許が認められている。医薬の世界では自社開発商品を特許で守るのが当たり前。こうした特許になじみ薄かった食品業界も、これから力を入れていく必要がある。