コーヒー飲料 再栓容器が新局面 ボトル缶にPETの“芽”

コーヒー飲料市場は近年、ショート缶と呼ばれるステイ・オン・タブ(SOT)缶の縮小を再栓可能なボトル缶の拡大がカバーし横ばいか微増で推移している。ただし今年に入りサントリー食品インターナショナルの「クラフトボス ブラック」がこれまで難しいとされたパーソナルサイズのPETブラックコーヒーに風穴を開けたことで、ボトル缶とのカニバリが大きくなければ新たな需要創造につながる可能性がある。

PETはボトル缶に比べて酸素透過性があり、また遮光性が低いため中味の劣化が早い特性がある。コーヒーも酸素と光で劣化するため、特にミルクや砂糖などが混ざらないブラックコーヒーは劣化による味の違いが出やすく、その点、缶容器が重視されてきた。

ただし、パーソナルサイズのPETブラックコーヒーがこれまで受け入れられてこなかった理由は品質面にあるのではなく、見た目や手にした時の感触にあるとみる向きが多い。多くのメーカーは既にPETで品質を担保できるだけの技術力を備えており、現にファミリーサイズのボトルコーヒーも一定の規模にまで拡大している。

「クラフトボス ブラック」は、ITワーカーを象徴ターゲットにチビダラ飲みに適した中味開発とともに”缶コーヒーの「ボス」から缶コーヒーではない「ボス」”のコミュニケーションが奏功し市場に定着した。

10月3日には、品薄で販売休止だった「クラフトボス ラテ」を再発売する。発売当初の需要については「ミルクティーやフレーバーウォーター、炭酸飲料などコーヒー以外の甘いものからのトライアルが想定以上だった」(サントリー食品インターナショナル)と振り返る。

「クラフトボス」に追随するのは伊藤園の「タリーズ」。10月16日に、コーヒー飲料業界初となる電子レンジで再加温可能な容器を採用したパーソナルPETのブラックコーヒーを新発売する。

一方、ボトル缶は「クラフトボス」の影響でブラックが前年を割り込む月も出てきたが、スタンダード・微糖・カフェオレのフルラインアップ化によりボトル缶トータルで成長を維持。

この秋冬もフルラインアップ化は進み、コカ・コーラシステムは、9月25日にミルク・砂糖入りの「ジョージアヨーロピアンヴィンテージブレンド」を新発売し、東京・渋谷駅に期間限定カフェ=写真=を設けてキャンペーンを展開していく。

アサヒ飲料も「ワンダ 極」で新商品を2品投入しフルラインアップ化。キリンビバレッジはショート缶に注力する一方、ボトル缶では30歳前後をメーンターゲットに香ばしさとクリアな後味を両立させた中味設計で差別化を図っていく。