海苔業界“弱り目に祟り目” 東海屋ショックに揺れる

東京、立川の7つの小学校で児童など約1千人がノロウイルスに感染した問題で2月28日、原因となった食材が大阪の東海屋が製造した「刻みのり」であることが判明した。前例のない乾物の海苔からの感染ということや、感染規模が大きかったことで各メディアが報道。翌日の3月1日になると早速、CVSなど大手ユーザーが自社取引先の加工海苔メーカーを検査訪問したり、一般消費者、学校給食関係者から問い合わせが相次ぐなど“東海屋ショック”に揺れている。

海苔流通は養殖漁家が作った「乾海苔」を入札で流通業者(海苔問屋、加工海苔メーカー)が競り落とし、それを焼き工程を経て「焼き海苔」「味付け海苔」となり袋詰めして出荷される。「乾海苔」も昔は直接販売されており、コンロなどで炙って食べられていた。しかし、衛生面の配慮からメーカーが焼いて提供する「焼き海苔」ベースにほぼ全面移行。生産ラインも全型、2切れ、8つ切れなど多くの定型商品は原料投入から焼き工程、個包装、袋詰めまで全自動ラインとなり、逆に人手が入る余地はない。

今回の「刻みのり」は“手詰め”が残る例外品であるが、管理のしっかりした企業ではもちろん、手袋で作業し交換も行っている。素手で作業するなど論外であり、今回の“事件”で業界イメージを失墜させた罪は大きい。

その原因判明の翌日、海苔業界にはさまざまな問い合わせが寄せられている。消費者からの問い合わせは多い企業で1日50件になり、学校給食関係者からも多い。また、「○○屋」の屋号を会社名にしている海苔企業は多いため、“東海屋”と勘違いして「そちらが問題を起こした企業か」と間違われるケースもあるようだ。多くは不安を解消するために説明を求めるといった内容で「真摯に対応するだけ」となっている。また、ユーザー業界でもCVSは早い。翌日には納入海苔メーカーの工場を訪問して点検に回っている。海苔が原因でCVSおにぎりが敬遠されたら死活問題になる。

ただ、今回の原因はカキのように海域や生態の問題ではなく、焼き工程後の不用意な接触という限定的なものだけに、現在のところ海苔ユーザーからの工程見直しや工程追加の要請などはない様子。

あとは3月の販売でどれだけ購買行動に影響するかどうか。特に今漁期は海苔が大幅減産でコストが大幅上昇中。加えて販売も低迷するとなれば“弱り目に祟り目”の状態だ。全国約500企業で構成される海苔業界はかつてない試練の時を迎えた。