砂糖 昨年、8年ぶりに消費量増加 悲願の調整金問題 正念場に

砂糖業界の2017年は期待と不安が交錯する複雑なものになりそうだ。昨年は砂糖年度で見ると8年ぶりに消費量が増加した。インバウンド消費、人工甘味料・加糖調製品の輸入減少など複合的な要因で少し押し上げられた。今年はこの流れを継続できるかどうか。一方、日本の砂糖には沖縄、奄美、北海道の国産糖を保護するための“税金”が含まれているが、これを砂糖だけでなく甘味料全体で負担しようという業界の長年の訴えがTPP議論と対策案の中で前進した。ところがである。トランプ次期大統領のTPP離脱方針で業界の“大いなる一歩”が足踏み状態に陥ってしまった。

昨年(砂糖年度2015年10月~2016年9月)は砂糖消費量が0.6%だが8年ぶりに前年実績を上回った。糖類ゼロ、ゼロカロリーなど“ゼロ信仰”の敵とされている砂糖にとっては逆風下での久々のプラス着地だ。もちろん増加幅は微々たるものなので製糖各社が実感できるほどではない。しかし、落ち続けていた実績が上向くということは希望を与える。白糖は装置産業化しているため、消費量の先行き次第でさらなる統合再編も待っている。すでに商社系列化(三井、三菱、伊藤忠、住友など)が進んでいるが、ここから先は相乗り経営(一部工場はすでに相乗り生産)も検討される領域になる。もちろん縮小均衡で特定社のシェアが高まっても行き着く先はさらなる縮小しかない。売上も利益も需要から生まれることを考えると砂糖需要の回復はいろいろな意味で余裕も生み出す。

その前年度のプラス要因として次のことが指摘されている。

①インバウンド消費=
 菓子みやげなど砂糖関連の需要が増えた。東京オリンピックまで好影響を与えるとの声も

②人工甘味料の輸入減=
 ゼロカロリー向けの甘味料が輸入減少した。天然甘味料の砂糖に多少戻ったかも

③スイーツブーム、ニアウォーターなど新たな砂糖需要の増加=
 砂糖を減らす食品がある中で増えている需要もあるとこのこと

④加糖調製品の減少=
砂糖と深い関係性がありTPP議論が進む中で様子見が増えたとの意見もある。

こうした複合的な要因ながら今年度も続くかどうか注目を集めることになる。

一方で正念場を迎えているのが調整金問題だ。国産糖農家(沖縄、鹿児島、北海道)を守る保護財源(糖価調整制度の調整金)を砂糖だけでなく、加糖調製品にも広げるべきという声がTPPをきっかけに一歩前進。「加糖調製品を糖価調整法に基づく調整金の対象とする」という法案を盛り込んだTPP協定が衆参本会議で承認可決された。業界にとっては30年以上も待ち続けた瞬間だった。

ところが、次期アメリカ大統領のトランプ氏がTPPに待ったをかけた。日本の各対策法案も「TPP発効の日から」となっており、TPPをきっかけに長年の問題が進んだが、そのTPPが漂流危機を迎えている。砂糖業界はTPPとの切り離し法制化を望んでおり、そうした動きも進んでいる。「もうラストチャンスだ」と見る業界関係も多く、これを逃せば不公平負担の是正は叶わないとする。今年は今後の砂糖業界の大きな流れを決めるような期待と不安が交錯した1年になるだろう。

(1/18付本紙別刷りにて「新春砂糖特集号」発刊)