働き方改革加速 外食で深夜営業縮小の動き

背景に人手不足、コスト増も

スカイラークグループは15日、深夜2時以降朝5時までの深夜時間帯に営業を行っている987店のうち、約8割にあたる店舗を対象に原則深夜2時閉店、朝7時開店の営業時間短縮を実施すると発表した。来年1月中旬から順次実施し、4月1日までに変更する。

同社は2013年、深夜客数の減少傾向を受け、約600店の営業時間を平均2時間短縮。同時に深夜勤務の従業員を別の時間帯に充てることでサービスの向上を図り、客数増を実現している。今回の営業時間短縮については「従業員のワークライフバランス推進が目的」とし、働き方改革の一環として実施する考えだ。営業時間短縮の動きは同社以外にも広がっている。働き方改革に加え、深刻化する人手不足、それに起因する時給高騰といったコスト増などが要因とみられる。

実際、人手不足は企業収益に影響を与えるまで深刻化してきた。小売業界では「パートナーの採用不足を正社員の残業で補ったため残業代が増えた」(ヤオコー)、「水産などの技術を要する派遣の時間給が高騰している」(いなげや)といったように、人手不足、時給上昇などによる人件費増が、今上期の両社の営業利益を圧迫している。

実際、ヤオコーは営業収益5・3%増ながら、人件費が9%増となったことで営業利益は0・9%減。いなげやは営業収益1・1%増に対し、営業利益は赤字。カスミも営業収益を6・3%増と伸ばしながら、人件費の10%増が響き2割の営業減益となった。

一方で、時給の上昇は「103万円の壁」とされる所得税配偶者控除(所得税の非課税限度額=現行103万円以下)の枠内で働く主婦層に影響を与えている。パートの主婦層は年収103万円以下になるよう年末期に就業調整するケースが多い。このため同時期に最大商戦期を迎える小売業界は例年、年末期のパート確保に苦慮している。

こうした状況を踏まえ、日本チェーンストア協会は、2017年度の税制改正要望として、配偶者控除の上限を200万円以下まで引き上げるよう求めていたが、与党は先般、控除対象となる配偶者の所得税非課税限度額を、現行の「103万円以下」から「150万円以下」まで引き上げる旨を盛り込んだ2017年度の税制改正大綱をまとめた。

「150万円以下」という水準は、「安倍内閣が目指している最低賃金の全国加重平均額である1千円の時給で1日6時間、週5日勤務した場合の年収(144万円)を上回る。働きたい人が就業調整を行うことを意識しないで働くことのできる環境づくりに寄与し、人手不足の解消を通じて日本経済の成長にも資することが期待される」(税制改正大綱)という根拠に基づく。

この部分だけであれば就業調整の緩和に一定の効果も期待できるのだが、一方で、10月から厚生年金の被用者保険の適用が「130万円」から「106万円」に引き下げられている。配偶者控除のハードルを下げる以前に、厚生年金適用のハードルを上げているため、就業調整に対する効果は不透明。

現状、営業時間短縮という動きは、外食、定休日を復活させた百貨店の一部などにとどまっているが、2017年は人手不足、人件費高騰に加え、為替(円安)の影響、原油価格上昇を受けた各種エネルギー価格の引き上げも想定される。同一労働同一賃金を打ち出す働き方改革の議論を含め、社会環境の変化に合わせたビジネスモデルの再構築が必要になりそうだ。