酒処、堺の復活を 堺泉酒造が新築移転

「日本一小さな酒蔵」と言われる大阪府堺市の堺泉酒造が、このほど酒造場を新築移転。かつて伏見、灘と並ぶ酒処として知られていた堺の地酒復興を目指す。

堺では全盛期には95軒の酒蔵が軒を連ねていたが、その後1971年に市内から酒蔵が姿を消した。それから44年後の2014年12月、堺に生まれた千利休の名を冠した日本酒を造る堺泉酒造が誕生。

だが、製造量は年間5千本にとどまり常に品薄の状態だった。こうした中、「国内から世界へ『千利休』を広げていきたい」(西條裕三社長)という思いを実現するため、今年2月から約半年かけ10倍の生産能力を持つ酒造場「利休蔵」を建てた。11月には新しい蔵で醸された新酒が出荷される。

堺市もバックアップし観光施設やネットを通し販売するほか、酒造場に直売所を設ける計画。また、伊藤忠食品が販売とPRを担い、商品の共同開発も行う。すでに甘酒を商品化し、東京のオーガニック専門店で先行発売している。

21日、同社で開かれたお披露目会に出席した伊藤忠食品の松本耕一専務は「大阪発祥の酒類卸である当社にとっても今年は130年の節目の年。今後、生産能力が10倍、20倍になってもまだ足りないと言われるぐらい積極的に売っていきたい」と意気込みを示した。

伊藤忠食品と商品開発
第一弾は「あまざけ」

今回、堺泉酒造と伊藤忠食品が共同開発した「つくり酒屋の麹仕込み あまざけ」の開発には女性スタッフも参加。原料には有機米を100%使用し安全面を訴求しながら、料理や菓子作りにも甘酒が使われる点を意識し、保存が容易なパウチ容器にした。

今後、両社は「日本の素材を使い、特許技術を生かした新しい日本酒の開発」(伊藤忠食品経営戦略部・星利夫部長)に取り組む。ボトルは世界的なデザイナーが担当し、海外市場も狙う考えだ。

星部長は「国内の日本酒市場は縮小しているが、海外向けはこの10年で倍以上増えている。誇りを持って海外に出していけるような、新しい日本酒を作りたい」と話している。