原料原産地表示拡大案 重量順1位原料が対象

農水省・消費者庁は5日、第9回目の「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」を開き、すべての加工食品を対象に原料原産地表示を導入するための表示案を示した。すべての加工食品で重量順第1位の原料を対象に原料原産地表示を義務付け、産地切り替えへの対応など事業者の実行可能性を考慮し、一定条件のもとで可能性表示や大括り表示、中間加工原材料の製造地表示も認める内容。検討会では今回の案をベースに次回にも中間とりまとめを予定しているが、食品産業センターをはじめ事業者側は「消費者の誤解を招きかねない」と懸念を示している。

あいまい表示許容に懸念

 「加工食品の原料原産地表示制度(案)」は別図の通り。

すべての加工食品で重量割合1位の原料の原産地を義務表示の対象とする義務表示は国別重量順表示とする。産地の切り替えによる容器包装の変更が生じる場合には、例外1として可能性表示を認め、使用可能性のある複数国の原料を重量割合の高いものから順に「又は」で表示(3か国目以降は「その他」。過去の取り扱い実績に基づき表示し、新製品の場合は使用計画。容器包装に注意書きが必要)。

3か国以上の変更が生じる場合は、例外3として「大括り表示」が可能。それでも対応が難しい場合は「大括り表示+可能性表示」を認める。対象原材料が中間加工原材料である場合は、中間加工原材料の製造地表示を認め、当該原材料の製造地を「○○製造」と表示できる。例えば、りんご果汁(ドイツ製造)、小麦粉(国内製造)など。

既に原料原産地表示が義務付けられている22食品群4品目は現行制度を維持する。新たに、おにぎりの海苔は重量割合に関係なく、原料原産地の表示とすることが盛り込まれた。表示媒体は容器包装への表示とし、インターネットの活用は自主的な情報開示にとどめた。また、対象原材料の使用実績の根拠となる書類の備え置きを求めた。

5日の検討会では、消費者側の委員からは「加工食品の原料原産地義務化に向けた大きな前進」と期待の声が挙がる一方で、「表示と中身が異なる可能性があり、問い合わせの増加やコスト負担が増える。あいまいな表示内容を消費者がどうとらえるか検討が必要」(日本チェーンストア協会)、「消費者、事業者に役立つ表示制度を慎重に議論すべき。とても承服できない」(食品産業センター)など、事業者側は反対姿勢を示した。

政府は6月の日本再興戦略2016で「すべての加工食品への原料原産地の導入に向けて実行可能な方策について検討を進める」ことを閣議決定しており、検討会は次回会合で中間取りまとめを行う方針だ。

今回示された表示案は、可能性表示や大括り表示など事業者の実行可能性は考慮されたが、「表示と中身は一致すべきという大原則から外れ、消費者に誤解を招く。消費者への情報提供を広げることは重要だが、そもそも、このような制度設計でなければ、すべての加工食品に表示を義務化できないということに無理がある」(市川まりこ委員・食のコミュニケーション円卓会議代表)との指摘は重い。