製糖業界初のSDGs専門部署 大日本明治製糖サステナビリティ推進室長 橘 香織氏に聞く

世界を変える17の目標に賛同

――サステナビリティ推進室の新設と、SDGsの取り組みが始まった経緯について。

橘 SDGsが2015年9月の国連総会で採択されてから、日本でもさまざまな企業が導入しており、ゴールの2030年に向かって“持続可能な開発目標(SDGs)”を各社が掲げている。

当社も社長の佐藤から積極推進の方針と専門部署の設置が指示され、昨年10月に「サステナビリティ推進室」が立ち上がり、初代の室長に私が就任したところからスタートする。専門部署の設置も含めて製糖業界で初の取り組みとなる。

まずは社内に対して説明会を開催した。約100人が在籍しているが、全国の拠点を回り少人数での社内ミーティングを通じ、全員に基本理念や社会的背景などを一通り理解してもらった。

――反応はいかがでしたか。

橘 肯定、否定の両方があった。製糖経営で優先するべきものが他にあるとする意見や、時代や世界的な情勢から導入するべきなど、個人の認識においても葛藤(かっとう)があったと思われる。また、現在でも一部は実施しているという意見もあった。例えば節電や節水も持続的な社会や将来に対しての行動であり、ほかにもCSRの概念も浸透している。企業の社会貢献や社会的責任が議論される時代になっている。SDGsは17の目標に経営そのものを通して向かっていこうとするもの。まずはその説明に半年間を費やした。

――製糖経営とSDGsはうまくいきそうですか。

橘 次のステップはそこになる。まずは企業理念として“ばら色で豊かな食文化に貢献します”を掲げ、付帯説明に「国連が掲げる『持続可能な開発目標』(SDGs)に賛同し、社会の発展や地球環境に配慮しながら、私たちの事業活動を通じて、そのゴールの達成に広く貢献していくことを目指します」と発表している(HP掲載)。また、“働きやすさ№1を目指す”も掲げており、同取り組みを通じてお客さまやあらゆるステークホルダーから選ばれる企業でありたいという思いも込めている。
その中でSDGsに関して3つの柱と8つのターゲットを選んだ。

▽「食」(①飢餓をゼロに②すべての人に健康と福祉を)
▽「環境」(③ジェンダー平等を実現しよう④エネルギーをみんなにそしてクリーンに⑤働きがいも経済成長も⑥気候変動に具体的な対策を)
▽「地域」(⑦住み続けられるまちづくり⑧つくる責任つかう責任)

社員との会議は13回を数えるに至っていた。今はスタートラインに立ったばかりなので具体的な数値目標や行動目標はこれからになる。ただ、例えば弊社の子会社である石垣島製糖ならば、地域貢献や環境配慮などSDGsの視点からも既に多くの取り組みをしており、再評価できるものも多い。

私のこれからの仕事は、全国の各事業所で行われている事業内容とSDGsを結びつけ、今後の方向性を示していくことになる。合わせて大日本明治製糖として掲げることができる具体目標なども提案し、砂糖業界をリードできるように頑張っていきたい。

――ありがとうございました。

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